副業

副業するなら知らないとヤバい確定申告ー事業所得か雑所得か編

最近はサラリーマンの副業・兼業がインターネットやニュースでも話題に登ることが多くなってきました。

(以降、この記事では「副業」という言葉を使っていますが、複業とイメージしていただけると幸いです。「サラリーマンが主である」という先入観が説明上邪魔になるからです。)

 

サラリーマンやりながら、副業で個人事業主もやってるんだけど、確定申告のやり方がわからない。。。

取り敢えず事業所得でいいんでしょ?個人「事業」主なんだし。でも「雑所得」になるって話もネットで見たなあ。どっちが正しいの?

 

このようなことでお悩みの方、結構いらっしゃると思います。

 

副業の税金については、いろいろと検討しないといけない点がありますので、一つの記事にまとめるのは大変です。

 

なので今回は多くの副業サラリーマンを悩ませ、かつ判断が最もやっかいな、副業の所得区分について書きます。

 

多くの個人事業主の所得区分は事業所得か雑所得(不動産賃貸は不動産所得)

所得税の基本として10種類の所得区分というものがあります。

 

副業で得た所得にも当然税金がかかりますが、この所得の区分(※)によって税金の扱いはかなり違ってきます。

 

(※)所得は10種類

  1. 利子所得・・・預貯金等の利子
  2. 配当所得・・・株式等の配当
  3. 不動産所得・・・不動産の賃貸による所得
  4. 事業所得・・・事業からの所得(今回のテーマ)
  5. 給与所得・・・給料、賞与等
  6. 退職所得・・・退職手当
  7. 山林所得・・・山林の立木(りゅうぼく)の売却
  8. 譲渡所得・・・資産の譲渡
  9. 一時所得・・・生命保険の満期返戻金や競馬の払戻金
  10. 雑所得・・・1から9に該当しない所得(今回のテーマ)

個人事業でも不動産賃貸の場合は不動産所得に該当するので、今回のテーマの対象外です。

 

今回は不動産賃貸以外の個人事業の利益が、事業所得になるか、雑所得になるか、という一番やっかいな問題について、これまでの納税者と国税庁の争いの歴史も踏まえながら詳細に解説していきます。

 

事業所得と雑所得の判断基準は決まっていない【結論】

早速結論です。

 

事業所得と雑所得を判別する明確な判断基準や数値基準はありません

 

・・・・

・・・・

・・・・

 

結論になってねえよ!ツッコんで頂いた方に感謝申し上げます。でも本当に、明確な判断基準が無い、というのが本質なんです。

 

しかし、ここで終わったら意味ないですよね。分かっています。まだ続きます。

 

(続き)ただし、過去の判例から以下の要件を満たしていなければ事業所得と認められない可能性が高くなる

独立性 自分の裁量で業務を行っている=誰か(たとえば会社)の指揮監督下で労務提供しているわけではない

自分が損失を被るリスクを背負っている

業務からの収入で生計を立てている

営利性、有償性 儲けるために業務を行っていて、対価を得ている
反復継続性 業務を継続的に行っていて、収入が一時的なものではない
社会的地位 周囲から「あの人の仕事はXXX」と認知されていること

どうでしょうか?

 

まだまだ抽象的でフワッとした結論ですね。

 

前提知識をすっ飛ばして結論だけ書きましたので、以下の解説を読んでから、また結論を読み直してみて下さい。

なお「事業的規模が必要」と解説する記事や動画もあるようですが、一定以上の取引金額や、取引回数などの経済活動の規模が必要という基準を示した判例は今の所存在しません。

もちろん取引金額が大きいこと、取引回数が多いことなどは事業所得と認定するのにプラスの要因になりますが、そもそも事業は望んだ通りに儲かるとは限らないので、結果として儲けが出ているかどうかは判断基準とはなりません。

これまでの判例で注目されているのはあくまでビジネスの「やり方」や「有り方」です。

記事の最後に、じゃあ副業サラリーマンは、どう判断すればいいのか、例を使って書きたいと思います。

なぜ事業所得に「認められない」なのか?

結論の2つ目に、・・・事業所得と認められない可能性が高くなる、と書きました。そうです。事業所得は税務署に「認めてもらう」必要があるのです。その理由は、

事業所得の方が税務上のメリットが圧倒的に多いからです

つまり事業所得vs雑所得の中身は、税負担減らせるvs税負担減らないの構図なんですね。両者を比較すると以下のようになります。

税務メリット 事業
必要経費を損金にできる OK OK 両者で差がないが、事業所得は青色申告で30万円未満の資産を一気に損金にして所得を圧縮することが可能だったり、専従者給与を経費に入れることもできるので、事業所得に分がある
損益通算できる OK NG 事業所得がマイナス(収益<費用)だった場合、マイナス分は他の所得(例えば株式の譲渡所得、給与所得など)から差し引くことができる
損失繰越できる OK NG 青色申告の場合、事業所得にマイナスが生じ、他の所得と相殺しきれなかった分については3年を限度に繰越しができる
青色申告できる OK NG 事業所得に対し特別控除最大65万円が適用できる。一方雑所得の場合は青色申告の申請はできない
決算書を作る必要(デメリット) 必要 不要 青色申告では日々の取引を正しく記帳・記録していくことが求められる。雑所得では決算書は不要だが、収益・費用の根拠はもちろん必要
専従者給与を損金にできる OK NG 青色申告の場合、家族従業員への給与を事業所得の経費とすることができる

赤色が税務上のメリットを表しています(損益通算や青色申告制度の詳細は他にもたくさん解説記事がありますので、ここでは触れません)。

 

表を見ると事業所得のほうが圧倒的にメリットが多いですね。なので、税務署としては安易に事業所得で申告されたら税逃れを許してしまうという意識を持っているわけです。

 

そして、事業所得として申告をするためには、その前段階として開業届の提出が必要になります。一方で雑所得の場合は、開業届は不要です(というか提出できません)。

 

開業届が税務署に受理されて、初めて事業所得申告や青色申告申請ができる、というわけです。

 

このように、事業所得の申告にはそのメリット故にハードルが設けられており、これまで納税者と税務署(国税庁)の間で多くのモメごとが起こってきました。

事業所得か雑所得かで納税者と税務署がモメた事例

判例としてよく取り上げられるのが、会社役員が営んでいた商品先物取引業で生じた損失が雑所得とされた事件(ここでは商品先物取引事件とします)で昭和50年代の判例です。

 

もう一つ、比較的新しい判例として医師が経営していた服飾レンタルの仕事で生じた損失が雑所得とされた事件(ここでは医師服飾レンタル事件とします)をご紹介します。

商品先物取引事件

この判例は、会社の取締役だった方が会社業務の傍ら商品先物取引を6年間に渡って継続して、毎年200回〜700回程度の先物売買取引を行い収益を得ていましたが、そこで生じた損失を事業所得として他の所得と相殺して申告していたところ、事業所得としての申告が否認されて雑所得とされた事件です。

 

つまり、損失は他の所得と相殺できないことになりました。

 

結論で示した表を使ってこの例を評価すると、以下のようになります。

評価基準 意味 評価
独立性 自分の裁量で業務を行っている OK
自分が損失を被るリスクを背負っている OK
業務からの収入で生計を立てている X 会社役員として生活を支えるだけの収入があった
営利性、有償性 儲けるために業務を行っていて、対価を得ている OK
反復継続性 業務を継続的に行っていて、収入が一時的なものではない OK
社会的地位 周囲から「あの人の仕事はXXX」と認知されていること

  • 一般的に商品先物取引は投機性が強いもので事業になじみ難い
  • 会社役員としての安定的な収入があった上で片手間で行っていた
  • 本人は扱っている商品先物について素人で、偶然のきっかけで取引を始めたに過ぎない

評価基準の全てがXではないところがポイントですね。

 

この裁判では、副業をある側面から見れば確かに事業をやってるっぽく見えなくもない、しかし別の視点から見るとやっぱり事業とは言い難いね、という評価がされました。

 

言い換えれば、副業のやり方・副業を行う環境・本人の財政状況・社会的な立場などを総合的に判断されたということです。

 

特に社会的地位に評価の重点が置かれています。もう一例を見てみましょう。

医師服飾レンタル事件

この判例は、給与収入が3千万円近くある医師が服飾レンタル業を営んでおり、そこで生じた損失(ある年の収入=47万円、必要経費=654万円で計607万円の損失)を事業所得として給与所得と損益通算を行っていたところ、事業所得としての申告が否認された事件です。

 

表を使って評価すると以下のようになります。

評価基準 意味 評価
独立性 自分の裁量で業務を行っている OK
自分が損失を被るリスクを背負っている OK
業務からの収入で生計を立てている X 医師として生活を支えるだけの収入があった
営利性、有償性 儲けるために業務を行っていて、対価を得ている X

  • 商品は、医師のサイズに合うものしかなく、客は10人程度だった
  • 宣伝広告などの顧客拡大努力が行われていなかった
  • 帳簿がなく、収入を大幅に上回る服飾品を購入し続けていた
反復継続性 業務を継続的に行っていて、収入が一時的なものではない OK
社会的地位 周囲から「あの人の仕事はXXX」と認知されていること

  • 医師業で所得の大半を占めていた
  • 服飾レンタルの資金について借入等を行っておらず、本業から捻出されていた
  • 服飾レンタルは医師業の合間のわずかな時間で行われていた
  • 事務所等は設置されておらず、商品を保管しているマンションに服飾レンタル業の表示等もなかった
  • 請求書発行や宣伝広告も行っていなかった

これは最初の例よりもわかりやすいですね。

 

このお医者さんはそもそも儲けるつもりがあまりなかったようで、おそらく給与所得にかかる税金を抑えるために損益通算を利用した、ということだったと推測できます。

 

このようにそもそも儲からない、儲けるつもりのない活動を事業所得にして所得圧縮するのは完全にアウトです。

 

ちなみに、2013年、副業から故意に赤字を計上させて所得を圧縮する脱税指南をしたコンサル会社社長が逮捕される事件がありました。副業で赤字を出して節税!なんていうコンサルタントがいたら、絶対に関わらないで下さい。

 

しかし、この判例でも営利性の無さのみで切り捨てるのではなく、社会的地位の部分(=客観的に見て事業をちゃんとやってるように見えるか)をしっかり評価していることがわかります。

 

商品先物取引事件と同様、副業のやり方、環境、財政状況、社会的な立場を総合的に見ているんですね。

 

税務署から「結局医者のお仕事をメインでされてますよね?」と言われたら、このお医者さんは反論に苦しんだのではないでしょうか。

副業が儲かっていればいいが、損失が出たときに問題になる

ご紹介した判例は、いずれも納税者に生じた損失が他の所得と相殺できるかできないかで納税額に大きな違いが出てしまうことから生じた争いでした。

ここ、ポイントなんですが、実は副業が雑所得に区分されたとしてもそのビジネスが一定レベル以上に儲かっている場合は、納税額に大きな差は生じません。

雑所得でも必要経費は損金計上できます。

 

また、事業所得の青色申告特別控除枠といっても上限が65万円なので、ビジネスがある程度以上に成長してしまうとありがたみは薄れて行きます(まあ、ビジネスが成長しているのならもはや個人事業ではなく法人化を考えるべきですが)。

 

上の2つの例でも、税務署から指摘があったとしても仮にビジネスが儲かっていれば裁判にまで発展しなかったでしょう。

 

つまり、納税額へのインパクトが大きく、かつ税務署との争いが起きやすいのは、ビジネスから損失が生じた場合、あるいは数十万円から2,3百万円程度の微妙なプラス所得が生じた場合なのです。

 

2、3百万円という所得はサラリーマンの副業として、実に「ありそう」な所得帯です。

 

ビジネス開始初年度に赤字を計上しそうな方や、所得が2,3百万円レンジに入って来そうな方は特に事業所得として申告する場合に慎重さが求められると言えます。

副業といえど本気で取組むことが必要

冒頭でもいいましたが、「副業」というとどうしてもサラリーマンの給与所得の方が主体というニュアンスが出てしまいます。

 

しかし、判例でビジネスの社会的地位の評価に重点があったことからわかるように、副業が事業所得と認められるためには、時間、労力、資金等を相当程度費やしているという実態があることが求められます。

 

副業サラリーマン(男性)

副業は小遣い稼ぎ程度っスね。時間も労力も大してかけてないス。

といった感じでビジネスをおこなっているのであれば、事業所得として申告すべきではないでしょう。

 

簡単にいうと

  • 副業を本気でやっているのかという問いにYESと答えられ、かつ
  • その本気度を客観的に証明できなければいけない

ということです。本気度の客観的な証明というのは例えば以下のようなもので、こういった実態が伴っていれば事業所得として認められる確率は高まります。

  • 商品開発・営業活動をするために銀行から融資を得ている
  • 広告宣伝を積極的に行っていて、相当な費用をかけている
  • 会社員業務の終了後、夕方から深夜にかけて毎日副業の業務を行っていて、その記録が残っている
  • ビジネス用のSNSアカウントやウェブサイトを保有していて、情報発信や宣伝活動を継続的に行っている
  • 実際に顧客が居り、商品を販売したりサービス提供しており、取引頻度も高い
  • 副業専用の事務所や設備を持っている
  • 副業に必要な作業のためにアシスタントを雇ったり、外注業者を利用している
  • etc..

あくまで例示であって、これらが揃っているから絶対に大丈夫というものではありません。

 

また、全て揃っていなければダメ、というものでもありません。念の為。

副業を事業所得とするか、雑所得とするか【具体例で確認】

ここからは具体的な例で事業所得にあたるか、雑所得にあたるかを見ていきましょう。

 

判定は筆者の肌感覚によるものですので、あくまで参考とお考え下さい。

例1.ウーバーイーツ配達員。週1,2回程度、会社が終わった後や週末に体力が残っていれば配達に出る。ウーバーイーツからは雇用されておらず、業務委託契約を結んでいる。

判定:雑所得

理由:配達業に相当の時間、労力をかけているとはいえなさそう

補足:「業務委託契約を結んでいれば事業所得計上できる」といった解説記事もありますが、雇用契約を結んでいないから事業をやっていることになる、という単純な判断はできません。契約形態によらず、配達員としての働き方が事業の要件を満たしていることが必要です。一方、100%配達員の仕事にフルコミットし、プロ配達員として収益を維持・増加するために努力していれば事業所得と認められる可能性は高くなります。

例2.仕入れた商品をメルカリ等のウェブサービス上で販売するビジネス。自分の生活用品の売却ではない。仕入のための融資を受け、スタッフを雇って組織的・計画的にビジネスを行っている。初年度は赤字になったので、給料と貯蓄で生計を立てていた

判定:事業所得

理由:スタッフを雇って組織を管理し、借入を利用するなど相当の労力と資金を費やしていると考えられる

補足:副業が儲かっていないことをもって事業所得が否認されるわけではありません。儲かっているかどうかはビジネスの結果でしかなく、事業所得か否かの判断基準にはなりません。なので、独立性にある「業務からの収入で生計を立てている」という要件は、この場合必須の要件ではなくなります。しかしながら、赤字が継続しているのに収益改善の努力もしていない、実は借入資金を生活費に使っている、などの事情が入ってくると、事業への本気度が疑われ、一気に雑所得認定の可能性が高まります。

例3.例2の商品販売ビジネスはあまりうまくいかなくなり、借金を返済した後はスタッフを雇わずに一人で仕入と販売を行うようになった。仕入には給与からの収入を利用し、取引規模も以前の10分の1程度に減った

判定:雑所得

理由:仕入資金を給料から捻出したり、組織的なビジネス遂行の実態も無くなるなど例2の時から副業の実態が大きく変わっている

補足:当初、事業所得申告していたからと言っても、ビジネスの実態が変われば所得の区分も変わります。この場合は廃業届を税務署に提出し、事業所得から雑所得に区分を変更すべきでしょう。

サラリーマンが士業として副業する場合

会社やプロフェッショナルファームなどの組織内で働く専門家が副業をする場合はどうでしょうか。弁護士、公認会計士、弁理士、司法書士、税理士、社労士、行政書士、等など、日本は「XX士」の種類が多い国です。

 

私も含め、こういった専門家が一般事業会社やファームで会社員として働きつつ、個人でも開業してクライアントにサービス提供する場合もありますね。

 

こういったケースでもやはり個人開業している仕事が事業所得になるか否かは重要な論点です。

 

特に税の専門家とされる税理士や公認会計士、また法律家とされる弁護士が申告の誤りを税務署から指摘されるのは、専門家としての信用問題に繋がります。

士業の副業に関係する判例

要旨

専門家の仕事が絡んだ判例として有名なのが、弁護士顧問料事件です。

 

これは給与所得vs事業所得でモメた事例です。

 

しかもこの弁護士さん(以下弁護士A)は顧問料として得ていた収入を事業所得ではなく給与所得だと主張しました。

 

給与所得控除により、事業所得よりも税額が低く抑えられる、という事情があったようです。

 

この記事で取り上げる事業所得vs雑所得とは異なるのですが、事業所得の意義を検討するときに引き合いに出される判例です。

 

結果として顧問料は事業所得と認定され、追徴課税を受けました。

判決の主な理由
  • 顧問契約に勤務時間や場所の定めがない
  • 契約が常時数社と締結されていて、特定の会社の業務に定時・専従するといった拘束はなかった
  • 弁護士Aが会社に出向いていたわけではなく、電話相談が業務の主体だった
  • 相談回数は会社によって異なり、継続はしているが断続的なものだった
  • 各社は顧問料を業務に対する報酬として支払っており、保険料の控除や賞与等の支払いもしていなかった
弁護士顧問料事件からわかること

判決の理由から推測できるのは、弁護士Aはいわゆる「士業として普通の」顧問業務をやっていた人だということです.

 

顧問契約を会社と結ぶ場合、普通は勤務時間や勤務地を縛ることなんてしませんし、会社的には専門家としてのサービスさえ提供してくれれば自由に働いてくれていいし、働いてくれた分だけ報酬は払うよ、という認識だったはずです。

 

他の士業が会社や個人と顧問契約を結ぶ場合も、大抵は弁護士Aのような働き方になるでしょう.

 

そして、弁護士Aのような働き方は事業だと認定されたわけです。

 

これはサラリーマン士業が顧問業務をする場合に、事業所得区分にできる材料の一つになります。

 

しかし、弁護士Aは専業でした。サラリーマン士業とは事情が少し異なります。それは以下の点でしょう。

弁護士A 労力・時間の100%を専門家としてのサービス提供に費やしていた
サラリーマン士業 労力・時間の一部を専門家としてのサービス提供に使うが、残りはサラリーマンとしての労務

つまり、全体に占めるサラリーマンとしての労務割合が士業としての仕事割合よりもあまりに大きいと、社会的地位の観点から士業として事業を営んでいると見做されない可能性も出てくるわけです。

 

具体例でいうと、以下のような場合は士業としての仕事の比重があまりに小さいため、事業所得にはできないと考えた方が無難でしょう。

 

例4.税理士Bは会社員として勤務する傍ら、年に2、3回友人からの紹介された経営者の税務相談に乗り、報酬をもらうことがあった.いずれも単発の税務相談で、Bには開業税理士としての営業活動を積極的にしている実態は無かった.

 

士業は社会的な地位が確立されているという点で、一般的なサラリーマン副業に比べて事業所得に区分しやすいと考えられます。

 

とはいえ、事業と呼べるだけのビジネスの実態が求められることには変わりありませんので、一般の副業と同様に本気で副業に取り組むことが必要です。

税務調査はそれでも事業所得を否認してくるかもしれない

これまで長々と事業所得が認められるために必要な要件を解説してきました.読んで下さってありがとうございます.

 

ここまで読んで頂いてこんな事言うのも大変心苦しいのですが、聞いて下さい。

 

税務調査があなたの所にやって来た時、調査官はあなたが必死で取り組んでいる事業に対して「これサラリーマンの片手間でやってるんでしょ?雑所得に直して下さい。」と心無く言い放つかもしれません.

 

あなたの事業が過去の判例に照らして間違いなく事業だと主張できるものであったとしても、調査官はそもそも判例を把握した上で指摘をしているとは限りません。

 

最初から事業所得否認の結論ありきでやって来る場合もあります。残念ながらそれが税務調査です。彼らも追徴課税という実績をあげるために調査にやって来るのですから。

 

ですので、税務調査の通知が来たら、迷わず専門家を頼って下さい。

 

参考税務調査サポート

税務調査サポートってどんなサービス? 税務署から税務調査の通知が来た。。。一体どうすれば。。。 突然の税務署からの通知、驚きますよね。はじめての税務調査に不安が募るばかりと思います。 確かに、個人事業 ...

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調査官も一般の個人事業主を相手にするのと、税の専門家を相手にするのとでは態度が全く変わって来ます。そのために我々のような税の専門家が存在するのです。

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